田原市中央図書館を見学して         


百聞は一見にしかずと申しますが、実際に田原中央図書館の中に身を置いてみなければ本当のところ
はわからないとつくづく感じました。緑にあふれ、全体が非常に長細いつくり。開架室が分野ごとに小
さな房のように別れ、小部屋に入ったような非常に落ち着ける空間であることや、ソファーや椅子が各
所に数多く配置され、中庭にある緑を見ながら座れるようになっていることなど、利用者の立場で実に
よく考えられた施設と配置だと思いました。一日中でもいたくなる、心地よい空間です。

1年ほど前に私どもの近隣市が駅前ビルに最新の大きな図書館をオープンさせ、見学しましたが、施
設の立派さ大きさには驚きましたが、「何か違うな」と感じました。田原中央図書館を見学し、その違
和感のワケが理解できました。

 

 公立図書館を市民の知る権利を保障する唯一の機関、だれでも気軽に利用できる敷居のもっとも低い
公共施設、生涯学習の推進センターと位置づけていることや、図書館をつかいこなす力を子どもの頃か
ら培い市民の豊かに生きる力を育て保障していくという、図書館の使命が施設・運営に位置づけられて
いる点に、感銘を受けました。また、館長の強い指導性と図書館員の能力向上、情報共有と一体感の大
切なことも学ばされました。

現在の田原市中央図書館が一朝一夕にできたのではなく、過去からの市民サイド、行政サイドの様々
な方々の努力と研究の積み重ねによるものだということも、よく分かりました。江南市のお粗末な図書
館施設と図書館行政をここまで許してきた、市民サイドからの働きかけの不十分さに反省で一杯です。

 

 図書館が市民の暮らしと仕事、地域づくりを情報面から支援していることは、新鮮でした。調べもの
の相談をする?マークのレファレンスコーナーを目立つ場所に設置したり、新聞5紙に掲載された田原
市に関する記事のデーターベース化はすごいです。専門書が多く、単に読書のための本を借りる場だけ
ではなく、調べ物がきちんとできる場になっています。

ネットで簡単に情報が手に入り、電子書籍も普及してきた時代にあって、図書館そのものの必要性が
議論され、大きな箱物が必要なのかとの意見や武雄市図書館を賞賛する意見も目立っています。はたし
て、図書館が田原市のようなサービスにまで踏み込んで行う必要があるのだろうかと疑問に思う面もあ
りましたが、見学しお話をうかがって、私なりに疑問が解消しました。 

田原市の市民アンケートで「外からきた人を連れていきたい施設」のNo1が図書館だと聞いていま

したがなるほどと納得できました。

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